低用量ピルの一種であるトリキュラー。そんなトリキュラーはどうしても避妊のために使うというイメージを持たれがちです。
ですが実際は、低用量ピルが避妊以外にもさまざまな用途で活用されています。
その用途のひとつとなっているのが辛いPMS(月経前症候群)や、月経困難症の緩和です。
また、上記以外にも生理周期の調整にもトリキュラーが用いられるケースもあります。
こちらのページでは、そんな生理とトリキュラーの関係について詳しく紹介していきたいと思いますので、生理にお悩みがある方は是非参考にしてみてください。
目次
PMSや月経困難症ってどんな病気?
女性特有の悩みとなっていることにPMSや月経困難症があげられます。
PMSは月経前症候群ともよばれ、生理の前に辛い症状があらわれ生理と共に消失していきます。
そして、月経困難症は生理中に起きる生理痛などの症状と共に、腹部膨満感や吐き気、脱力感や食欲不振などさまざまな症状があらわれます。
PMSと月経困難症の比較表はこちら
PMS | 月経困難症 | |
---|---|---|
原因 | 女性ホルモンの変動 排卵後のプロゲステロンの影響 | 子宮の入り口が狭い 子宮の過剰な収縮 子宮や卵巣の疾患 |
あらわれやすい 年代 | 10~50歳前後(20~30代がピーク) | 10~20代前半 疾患に関しては20代後半以降 |
症状例 | 情緒不安定、抑うつ、不安、眠気、集中力低下、睡眠障害、頭痛腹痛、腹部膨満感、乳房の張りなど | 下腹部の強い痛み、吐き気、お腹の張り、頭痛、食欲不振、下痢、イライラ |
症状が出る タイミング | 生理前の3~10日 | 生理1~2日目や生理期間中ずっと |
基本的にPMSは生理前に症状があらわれ、月経困難症は生理中に症状があらわれます。
どちらも、軽度な場合はそこまで大きな支障になることはなかったりしますが、酷い場合は日常生活に支障が出てしまうほどの症状が出る場合もあります。
そのため、PMSや月経困難症かもしれないという場合には、速やかに治療を進めるということが何よりも重要になります。
PMSを改善するための方法はある?
生理前にさまざまな辛い症状があらわれるPMSですが、このPMSは改善する方法があるのでしょうか?PMSを改善したり緩和する方法は多数あります。
PMSの症状はストレスによって強くなるとされているため、生理前にはリラックスする環境を整えてストレスを和らげるようにすることで、対策することができたりします。
ストレス解消の方法は、趣味やアロマ、半身浴や適度な運動など人によってさまざまなので、自身に適した方法でストレスを解消してみてはいかがでしょうか。
また、ストレスの解消以外にも生活習慣の見直しや有酸素運動を取り入れたりすることで、ホルモンバランスを整えて改善するといった方法もあります。
ですが、日常生活の中で運動やストレス解消、生活習慣の見直しなどを行うのが難しいということは珍しくありません。
そうなると、PMSを改善することはできないと考える方もいるかもしれません。ですが、実はそういうわけではありません。
PMSは上記以外の方法でも改善することが可能です。
その改善方法というのが、低用量ピルであるトリキュラーを用いる方法です。
低用量ピルであるトリキュラーを用いることで、ホルモンバランスを変化させて排卵を抑制します。
PMSはホルモンバランスの変動や、排卵後のプロゲステロンの分泌が原因とされています。
トリキュラーを服用することで、排卵を抑制してプロゲステロンの分泌を抑えることでPMSは改善できるのです。
月経困難症を改善、緩和する方法とは?
PMSの改善や緩和する方法について紹介したので、続いて月経困難症の改善や緩和に関する方法を紹介したいと思います。
月経困難症の原因は
子宮の入り口が狭い
子宮の過剰な収縮
子宮や卵巣の疾患
といったものがありました。
このうち、子宮や卵巣の疾患が原因となっている場合には、まずその原因となる疾患の治療が何よりも重要であり、疾患を治療することで月経困難症も合わせて改善するケースは珍しくありません。
その一方で、子宮の入り口が狭かったり過剰な収縮がある場合には、適度な運動などで痛みが緩和したり改善する場合があります。また、痛みそのものを鎮痛薬などで緩和するという方法もあります。
これらの改善策は、いわゆる対症療法となるため根本的な改善にはつながらない点には注意が必要です。
また、月経困難症では低用量ピルで改善する場合もあります。
これは、低用量ピルを服用することで排卵を抑制し、生理そのものを軽くすることでそれに伴う生理痛などの月経困難症の症状を抑えるという方法になります。
女性の4人に1人は月経困難症ともいわれており、対策を行っている方も少なくありません。
ですから、悩みを抱え込んだままにするのではなく適切に予防、対策するようにしてみてはいかがでしょうか。
PMSや月経困難症の時に処方されるピルって?
数多くの女性を悩ませるPMSや月経困難症ですが、婦人科クリニックなどで受診することで適切な対策をとることが可能です。
一般的にクリニックでPMSや月経困難症の改善のために処方されるピルとして
トリキュラー
マーベロン
ファボアール
アンジュ
ヤーズ
ヤーズフレックス
フリウェル
ルナベル
などがあげられます。
婦人科クリニックでは低用量ピルなどを処方してもらうことができるのですが、クリニックによって処方している低用量ピルの種類に違いがあったりします。
また、処方の判断は医師によって行われるため、必ずしも希望の低用量ピルを処方してもらうことができるというわけではない点にも注意が必要です。
そのため、使いたい低用量ピルがあったり、相性の悪い低用量ピルがあるような場合には、事前に医師に相談したり、自身に合ったピルを処方しているクリニックを探して利用するようにしましょう。
また、PMSや月経困難症を改善するためにクリニックで低用量ピルを処方してもらう場合には、注意点もあります。それが、保険適用の有無になります。
一般的にPMSや月経困難症では保険が適用されます。ただし、保険適用の有無に関しては
クリニックなどによっても違っているため、ピルを処方してもらう場合には、事前に保険が適用になるかどうかの確認をとるようにしましょう。
トリキュラーをPMSや月経困難症対策に使う方法は?
PMSや月経困難症の改善を目的としてトリキュラーを服用する場合、避妊をする場合と服用方法に違いがあったりするのでしょうか?
ここからは、PMSや月経困難症の対策のためにトリキュラーを使う時の用法用量や注意点について紹介してきたいと思います。
トリキュラーをPMSや月経困難症の改善を目的として服用する場合は基本的に避妊を目的として服用する場合と変わりはありません。
生理の1日目から、1シート目の1錠目を服用します。
翌日からは、2錠目を服用するという形で、1日1錠を21日間継続して服用します。
また、服用する時間に関しては、朝昼晩いつでも問題ありませんが、毎日同じ時間に服用するようにしてください。
トリキュラーには21錠タイプと28錠タイプがあります。
21錠タイプの場合は21日の継続服用のあと7日間の休薬期間を設けます。
28錠タイプの場合は、残りの7錠を22日目以降も1日1錠のペースで服用します。
上記の
21日の服用期間+7日の休薬期間
28日の服用期間
これらを1クールとして、29日目からは2シート目の1錠目の服用を開始します。
トリキュラーは錠剤ごとに服用する順序が決まっているので間違えないように気を付ける必要があったり、飲み忘れがあると効果が弱まってしまうため、適切に服用するようにしてください。
生理周期の調整にも使えるトリキュラー
低用量ピルのトリキュラーは避妊以外に、こちらのページで紹介してきたようにPMSや月経困難症の改善にも活用されています。
ですが、実はそれだけではないのです!
トリキュラーは生理周期の調整にも使われることがあるのです。
女性にとっては、切っても切り離せない生理の問題ですが、生理周期と旅行やイベントごとなどが重なってしまうと折角の楽しい時間も楽しさが半減してしまうことは珍しくありません。
また、生理の症状が酷い場合には、全く楽しむことができなくなってしまうなんていうこともあるのです。
そんな時、トリキュラーを適切に活用することで旅行やイベント期間に来る予定だった生理をずらして、旅行やイベントごとを十分に楽しむことができるようになります。
これは、トリキュラーを服用することでバランスを保っていた女性ホルモンが服用を辞めることで急激に減少することで、生理が起こります。
この原理を利用するのが、トリキュラーを用いた生理周期の調整です。
生理周期の調整は生理を予定日より早めることで調整する方法と、遅らせることで調整する方法がありますが、基本的にトリキュラーを用いる場合は生理予定日を早めることで調整します。
遅らせる場合は、トリキュラーなどの低用量ピルよりも中用量ピルなどを用いることが一般的です。
トリキュラーを用いて生理周期を調整する服用方法
低用量ピルであるトリキュラーを用いて生理周期を調整する方法は難しくありません。
トリキュラーを生理が始まってから5日までに服用を開始します。
1日1錠を決まった時間に毎日服用し、生理を早めたい分だけ服用する日数を減らします。
1日1錠の服用が終わってから2、3日後に消退出血が起こるので、その後、2シート目の服用を開始します。
これで、生理を早めることが可能になります。
ただし、10日以上は服用を継続していなければ、生理を早めるといったことができない場合もある点には注意が必要です。
また、生理を遅らせるという場合には、21日分の錠剤を服用後も、2シート目の黄色の錠剤の服用を継続します。
この時も1日1錠を決まった時間に服用します。
遅らせたい日数継続して服用した後、服用を中止することで2,3日後に生理が来ます。
ただし、生理を遅らせる場合は無限に遅らせるということはできません。
長くても10日程が限度となっているので、予定などを考えて遅らせるか早めるかを選ぶようにしてください。
また、生理を遅らせる場合は、中用量ピルが用いられるケースが多いので、低用量ピルであるトリキュラーは生理を遅らせるのには適していないという点にも注意が必要です。
ピルに頼らずに生理周期をずらせる?
トリキュラーなどのピルを用いることによって、生理周期を早めたり遅らせることは可能となります。
しかしながら、ピルを服用するのは抵抗が少なからずあるという人は少なくありません。
では、ピルを用いずに生理周期を早めたり遅らせたりすることは可能なのでしょうか?
ネットなどを実際に調べてみたりすると、ピルを使わずに生理をずらしたといった眉唾な噂が手に入ったりします。こうした情報は基本的には全てうそだと考えて間違いありません。
そもそも、噂になっているような情報には医学的な根拠などが全くなかったりします。
根拠がないということは、当然失敗してもおかしくないうえに、失敗する可能性の方が高いなんて言うこともあります。
そのため、そうした噂に惑わされないようにすることが重要です。
イベントごとや旅行、受験などとても大切なタイミングというのは、少なくありません。そうした時と生理が重なってしまえば、楽しむことや十分なパフォーマンスを発揮できずに後悔することになります。当然、眉唾な噂を信じて実施して整理をずらせなかった場合も同様です。
そうした後悔することにならないように、医学的な根拠もあり幅広く利用されていいるピルを用いた方法を活用するようにしましょう。
まとめ
こちらのページではトリキュラーを用いた
PMSの改善法
月経困難症の改善法
生理周期の調整法
などについて紹介してきました。
低用量ピルであるトリキュラーは、避妊というイメージが強いですが、実は避妊以外にもPMSや月経困難症などの女性ならではの悩みを改善するのに一役買っています。
トリキュラーを服用している=避妊している=遊んでいる人という風に思われる風潮が完全になくなっているとは言い切れません。
ですが、それ以上に低用量ピルを用いる利点は多いといえます。
女性が自分自身で望まない妊娠を避けるための最も手軽で確実な方法ですし、生理などの女性ならではの悩みも一緒に解決してくれるからこそ、イメージにとらわれず上手に活用してみてはいかがでしょうか。