日本国内でも幅広く処方されて、多くの女性に利用されている低用量ピルの「トリキュラー」はさまざまな用途で利用されています。
低用量ピル=避妊というイメージは未だ根強いですが、実際には避妊以外を目的として使用されているケースも珍しくありません。
こちらのページでは、そんな低用量ピルのトリキュラーについて、どのような効果があるのかといったことや、使用する上で注意すべきポイントなどについて紹介していきます。
目次
低用量ピルのトリキュラーとは?
低用量ピル=避妊というイメージを持つ人は今も非常に多く、ピルを飲んでいるだけで遊んでいると思われるケースは珍しくありませんし、そう思い込んでしまっている人も少なくありません。
ですが、実際には低用量ピルのトリキュラーを服用している方の中には、上記の避妊を目的として服用している以外の方も少なくありません。
そこで、まずはこのトリキュラーというピルについて紹介したいと思います。
低用量ピルであるトリキュラーはバイエルが製造・販売している低用量ピルで有効成分としてエチニルエストラジオール、レボノルゲストレルを配合しています。
バイエルはドイツに本拠をおく製薬会社で、トリキュラー以外にもさまざまな治療薬を製造・販売しています。中でも、EDを改善するレビトラなどは男性に幅広く認知されている治療薬のひとつといえます。
そして、この低用量ピルであるトリキュラーは、避妊に使われるというケースが最も多くなっています。
ですが、トリキュラーの用途は避妊だけではありません。
避妊以外にも、PMSの改善や生理の移動、月経困難症の改善などさまざまな用途で用いられています。
そのため、トリキュラーを服用しているからといって、避妊をして遊んでいるというのは間違いなのです。
有効成分のはたらきは?
低用量ピルであるトリキュラーに配合されている有効成分は2種類あります。
レボノルゲストレル
エチニルエストラジオール
の2種類ですが、これらの成分は一体どのような働きをするのでしょうか?
ここからは、これらの有効成分の働きについて紹介していきたいと思います。
レボノルゲストレルは黄体ホルモン、エチニルエストラジオールは卵胞ホルモンと呼ばれるホルモンです。
これらのホルモンは女性の体内で分泌されているホルモンであり、低用量ピルとして服用することで体内のホルモンバランスを徐々に変化させます。
本来であれば、脳からの指令でホルモンが分泌して卵子が発育、排卵という流れになりますが、外部からホルモンを摂取することで、卵子の発育や排卵が行われなくなります。
その結果、排卵がなくなって妊娠する可能性を限りなくゼロへと下げることで避妊します。
また、これらのホルモンを摂取することで排卵が抑制されると、子宮内膜が厚くなるということもありません。これによって、たとえ排卵があって精子と受精したとしても着床できずに妊娠を回避することが可能です。また、子宮内膜が薄いと生理ではがれて流れる量も減少するため、生理が軽くなったり出血が減って貧血などのリスクを下げます。
低用量ピルであるトリキュラーは上記のような作用で避妊やPMSなどを改善します。
また、これはトリキュラー以外の低用量ピルも同様の作用があります。
トリキュラーの効果について
低用量ピルであるトリキュラーは避妊やPMS、月経困難症や生理の移動といったさまざまな用途で用いられています。
そんなトリキュラーの効果として、もっとも有名なのはやはり避妊です。
この避妊効果は非常に高く、現在日本で一般的に行われているコンドームを用いた避妊と比べると、雲泥の差があります。
避妊法 | 避妊率 |
---|---|
コンドーム(正しく使用した場合) | 85% |
コンドーム(正しく使用してなかった場合) | 97% |
低用量ピル | 99%以上 |
参考元:ソフィ
上記の表にあるように、コンドームも正しく使用することができれば高い避妊率を誇ります。
ですが、一般的な使用法だと避妊率は85%まで低下してしまいます。
15%でも低いことに変わりはありませんが、妊娠するというリスクを考えると、15%は非常に高いといえます。
そのため、より確実に避妊が可能となる低用量ピルが大きな注目を集め、実際に利用している方が増えています。ほぼ確実な避妊を女性が主体となって行えるため、コンドームによる避妊よりも安心できるとして、現在ではピルを用いて避妊する女性も少なくありません。
当然、トリキュラーには避妊以外にも、ホルモンバランスを整えてPMSや月経困難症を改善したり、ホルモンバランスを変化させることで生理を早めたり遅らせたりといった生理を移動させたりすることも可能となっています。
そのため、避妊以外を目的として服用しているという方も少なくありません。
トリキュラーの正しい服用方法は?
99%以上という非常に高い避妊率を誇っている低用量ピルのトリキュラーですが、適切な方法で服用しなければこうした効果を得ることはできません。
そこで、ここからはトリキュラーの適切な服用方法について紹介していきたいと思います。
とはいっても、服用方法が複雑すぎて理解するのが難しいといったことは一切ありません。
基本となるのは、毎日決まった時間に1日1錠を水かぬるま湯で服用するだけです。
トリキュラーには21錠と28錠の2タイプあり、21錠タイプの場合は21日間、1日1錠を継続。
28錠タイプは28日間1日1錠の服用を継続するだけです。
21錠と28錠の違いは偽薬の有無となっており、28錠タイプには7錠の偽薬が含まれています。そのため、28錠タイプは28日間1日1錠の服用をした後、そのまま2シート目の1錠目を服用します。
一方の21錠タイプは偽薬が含まれていないため、21錠を21日服用した後に7日間の休薬期間を設けて、休薬期間後に2シート目の1錠目の服用を行います。
特に、初めてトリキュラーを服用するような方の場合、休薬期間中にピルの服用習慣がなくなってしまって、2シート目の服用を忘れてしまうということは珍しくありません。
しかし、偽薬があれば休薬期間中も1日1錠の服用を続ける形にはなるので、服用習慣を身に着けて忘れないようにするのに役立ってくれます。
また、トリキュラーの服用を開始するタイミングは生理が開始した日となっているため、飲み始めには注意が必要です。
トリキュラーを服用することであらわれる副作用とは?
低用量ピルのトリキュラーは医薬品成分を配合しています。
ですから、避妊やPMSの改善などの効能の他に、副作用があらわれるリスクがあります。
低用量ピルであらわれる副作用の種類は様々です。
重篤な副作用から軽度な副作用まで幅広く、服用する人と低用量ピルとの相性などによっては継続しての服用が難しいという場合もあります。
なかでも重篤な副作用である血栓症は年齢を重ねた女性かつ喫煙者という場合にはそのリスクが高まってしまいます。そのため、副作用リスクを抑えるために禁煙などを行う必要があります。
また、軽度な副作用としては下腹部痛や吐き気、頭痛といったものがあげられます。
これらの副作用は症状が軽度で我慢できるような場合には、我慢して毎日継続して服用するようにすることで、副作用に慣れていく場合もあります。
症状が辛いというような場合には、頭痛薬や吐き気止めなどを併用して使うということは可能となっているので、そうした別の薬を活用するのも良い方法といえます。
もちろん、低用量ピルにはトリキュラー以外にもさまざまな種類があるので、服用する低用量ピルの種類を変えてしまうというのも一つの方法となります。
ただし、その場合にはトリキュラーの服用を中止してから改めて生理が来るまで待って別のピルを服用するといった必要があったりするので、注意が必要です。
トリキュラーと他の薬の併用は?
低用量ピルに限らず、医薬品成分を配合した治療薬の中には飲み合わせの悪い薬があったりします。
もちろん中には飲み合わせの悪い薬がないという場合もありますが、残念ながらトリキュラーは飲み合わせの悪い薬があります。
トリキュラーの場合、絶対に併用してはいけない併用禁忌薬の指定はありませんが、併用した場合に注意が必要になる併用注意薬は存在しています。
この併用注意薬は非常に多く、トリキュラー以外に薬を飲んでいるという場合には絶対に確認するようにしましょう。
病院でトリキュラーを処方してもらうという場合には、医師に服用している薬を言って、飲み合わせ的に問題がないかの確認をするようにしてください。
そんなトリキュラーの併用注意薬としては
副腎皮質ステロイド
バルビツール系催眠鎮静薬
テトラサイクリン系抗生物質
インスリン製剤
アセトアミノフェン
セントジョーンズワート含有サプリメント
などがあげられます。
これらの薬やサプリメントと併用することで、トリキュラーの効果が強くあらわれて副作用リスクが高まったり、トリキュラーの作用が弱まったりするおそれがあるので、持病などで他の治療薬を服用している方は事前によく確認して服用するようにしましょう。
トリキュラーが飲めない場合の避妊法は?
トリキュラーを用いた避妊は非常に高い避妊率を誇っている避妊薬ですが、前述したとおりに飲み合わせに注意が必要な薬が複数あるため、服用したくても服用できないというケースがあります。
そうした場合には、トリキュラー以外での避妊を行う必要があります。
トリキュラー以外の避妊法としては
別の低用量ピルの使用
IUD、IUS
避妊リング
コンドーム
などの避妊法があります。
それぞれの避妊法ごとのメリットやデメリットはこちら
メリット | デメリット | |
---|---|---|
別の低用量ピル | ・トリキュラーと使用感を変えずに使える ・費用も比較的安価 ・避妊以外にも効果が期待できる | ・トリキュラーと同様に使えない場合がある ・副作用のリスクがある |
IUD、IUS | ・一度で長期避妊が可能 ・ピルと変わらない高い避妊率 ・辛い生理症状の改善 ・一度すれば手間がかからない | ・費用が高い ・分娩していない人には向かない ・月経量が増える可能性もある |
コンドーム | ・性病の予防にもなる ・手軽に使える ・1回あたりのコストが安い | ・男性主体 ・適切に使用しなければ避妊率が大きく低下 |
参考元:あすか製薬株式会社
避妊の方法にはトリキュラーの使用以外にも現在ではさまざまな方法があります。
そして、それぞれの方法ごとにメリットやデメリットがあるため、自身に最も適していると考えられる方法を用いることが重要です。
トリキュラーは安全だけど注意も必要
低用量ピルであるトリキュラーは比較的安全性の高い経口避妊薬のひとつですが、長期にわたって継続服用する場合には、注意が必要になります。
基本的に病院でトリキュラーなどの低用量ピルを処方してもらう場合、服用に際して何もリスクがない場合は問診などだけで処方してもらうことが可能です。
ですが、継続して処方してもらう場合には、数ヶ月に一度血液検査や子宮がん検診、超音波検査などを行うことが推奨されています。
これは、子宮がんや子宮内膜症といった疾患は低用量ピルに配合されているホルモンが原因となって発症、進行するためです。
そのため、基本的にそうしたリスクがない場合には継続して低用量ピルを服用すること自体に問題はありません。
ですが、発症する可能性などを考えた場合には、適切に定期的な診察や検診を受けるといったことが必要になります。
そうしたものを受けずに長期にわたって継続して服用することは可能ですが、推奨されません。
また、血栓症のリスクがあるというような場合には継続して服用することや、そもそも低用量ピルを用いて避妊を行うことが推奨されていないため、適切な方法で服用するようにしてください。
まとめ
こちらのページではトリキュラーについて
トリキュラーとはどんな薬なのか
有効成分の働きについて
トリキュラーの服用方法
といった情報を紹介してきました。
また、上記の情報の他にも、トリキュラーが薬の飲み合わせなどの関係で服用できないという方に向けて、トリキュラー以外の避妊方法についても紹介しました。
さまざまな避妊方法を把握した上で、適切な避妊を行うようにしましょう。
そうすることで、望まない妊娠から自分を守ることが可能です。
妊娠は人生の大きな転機になるイベントですが、望まない妊娠は大きな問題となって自身の人生設計を大きく変えてしまう要因にもなります。
だからこそ、望まない妊娠は確実に避けられるように低用量ピルなどを使って自衛するということが肝心です。